「いつでもできる」は「いつまでもやらない」になる

昨日のブログを書いていたとき、前にnoteでも似たような話を書いていたことを思い出した。

メモ帳を辿ってみたら当時の記事が発見されたので、ここに供養しておこうと思う。

 

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月額で決まった金額を払えば〇〇し放題!というサブスクリプション方式のサービスがこれまでになかった分野にも広がってきている。

音楽や雑誌、動画などのエンターテインメントから、洋服や家具家電、美容室や食料品など、もはやサブスクだけで生活を完結できそうなくらいだ。


これらをうまく取り入れて活用できているのならなにも問題はないのだが、中には加入したもののほとんど使っていないというものもあるのではないだろうか。

毎月引き落とされている明細を見ては、今月こそ退会しようと心に決めたのに、気がつくと申請期限が終わっていて、また次の明細にもちゃっかり居座り続ける月額利用料の項目に悩まされている人もいるかもしれない。


こうした人たちの巣窟(というとそこにいるようだが、実際には来ていない)としてあげられる筆頭はスポーツクラブ・スポーツジムではないだろうか。


私も初めて通った月額通い放題のジムでは、3ヶ月目くらいでほぼ幽霊会員状態になってしまった。

現在は月4回までならいつ来てもOKという契約のセミパーソナルジムに通っている。

コロナの影響で店舗自体が休業してしまったのでここ2ヶ月ほどブランクが開いてしまったが、昨年9月から初めて今日まで、取りこぼすことなく月4回通い続けることができた。

入会時とコロナ休業直前の記録(約7ヶ月継続)を比べてみると、体重はマイナス3kg・体脂肪率はマイナス5%だった。

入会時も極端に肥満だったわけではないので、中肉中背からの引き締め目的のダイエットと考えれば、悪くない結果だと思う。


この違いはなんなのかと考えると、結局のところ、人間は自由を乗りこなせないのではないか、という考えにたどり着いた。

つまり、タイトルのとおりなのだが、いつでも通えるジムというのは、同時にいつでも行かなくていいジムということだ。


そもそも運動習慣が日常に入り込んでいる人にとっては、いつでも通えるジムはありがたい存在だし、それ自体を楽しめるので使いこなせるのだろうが、入会を考える人の多くは、日頃の運動不足をどうにかしたいとか、体型をどうにかしたいといういわゆる運動嫌いの人も多いのではないだろうか。


やった方がいいのはわかっているが、嫌いなものをやるというのはとてもエネルギーがいるし、それでなくともこの世の中は時間を拘束される物事が多いのだ。

そんな中に更に時間を使うべきものが登場してしまったのだから、生活そのものになにかしらの変化を与えることになる。

習慣をテーマにした本によく書かれていることだが、そもそも人間は変化することが好きではないのだ。

そのための工夫として「いつでも運動できるシステム」を用意しがちなのだが、これが挫折へつながる落とし穴ではないだろうか。


締め切り効果という言葉があるように、このラインを超えてしまうと明確に立場が危うくなるなど、損することがあると、力を発揮できるものだ。

運動習慣に関してはこの締め切りの内容を期間と体重などの数値で設定してしまいがちだが、停滞期に突入すると一気にやる気をなくしてしまうデメリットもある。

それよりは月に4回行かないとお金がもったいないという、ちょっとの工夫(スケジュールを押さえてしまうとか)で達成可能な目標の方が結果的に続くと、経験を踏まえて思う。


この考えはもちろんスポーツクラブ以外にも応用できるだろう。

 

私もなんとなく録画し続けている金曜ロードショーが全く消化できていないという悩みがある。

録画してあるのでいつでも見れるのだが、今日は疲れたしいいや、と後回しにし続けているのだ。

じゃあ映画を見たくないのかといえばそうではなくて、映画館で見れるものは映画館で!と思うので、そちらの優先順位が高くなったり、他のエンタメとして身体的にも時間的にも拘束力が強い舞台鑑賞の方が優先順位が高くなりがちだ。


HDDには映画だけでなく連続ドラマやアニメも撮り溜められていて、続きものは第一話にさえ手をつければ意外と続くのだが(合わなかったらやめられる)なぜか映画が1番難しい。

お金も取られないので明確に損をすることもないのも消化できない要因だろう。

 

 

ひとつ糸口を見つけたからといって思い通りにならないところが、人生の面白いところである。

 

(2020年に書いていたnote(閉鎖済)より転載)